徒然畑

徒然なるままに。

【No8】アーヴィン・ブルーメンフェルド  ファッションポートレート

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出会いは2年前。たまたま立ち寄った東京都現代写真美術館で彼の写真に惚れました。
戦中のアメリカのVOGUEでカメラマンを務めていたアーヴィン。
もともと広告写真やファッションフォトは好きだったのですが、
彼の写真は全く古さを感じさせない。むしろ新しささえ感じる。
お気に入りの写真何枚かを並べながら、そう感じるワケを分析してみました。
 
⑴物語を感じさせる、写真の構成術
彼の写真がドラマチックで新しく感じるのは間違いなくこの要素があるからでしょう。
・あえて人物を真ん中に置かない
・人物の表情をあえて見えづらくする
・人物以外に目を惹く主役となるものがある
・人物の顔全体を撮らない
などなど…
そうやって、普通じゃない撮り方をすることによって
その普通じゃない撮り方が、「何故こんな撮り方?」と無意識に人の目を惹く。
そうやって、パッと見て普通じゃないもの、意図的なずらしを感じるものに
人は無意識のうちに反応してしまうのです。
 
⑵すました表情さえも美しく撮る、審美眼
ファッションポートレートがうまい人の特徴ってこれが歩かないかが大きいんじゃないでしょうか。
笑顔ではなく、びみょうなほほえみ、澄ました顔…
それさえも美しいと思わせる構成術を知っている。
例えば、彼の場合だと
すりガラス越しの隙間からとる女性の表情、
レース越しの女性の表情、
あえて別の影がかぶさった女性の表情…など
また、昔の絵画に学ぶ、と言うことで
青ターバンの少女を模したポートレイト、なども。
彼なりに女性の澄ました表情をドラマチックに見せるには?を考えた答えが
彼のポートレイトには詰まっているのです。
そして、そうして生まれる一枚のポートレイトの裏側に
たくさんの試作の存在があることも、伝わってきます。
 
⑶伝わる、写真家のもつ美学
そして、他のファッションポートレートと一線を臥す要素は、これだと思うのです。
自分の美しいと思うバックグラウンドを表現しきれているかどうかで、光るものが生まれる。
アーヴィンの写真でいうなら、ダダイズムの影響や、ヌード写真を通して彼が得た美学が、写真を通して伝わってきます。
要は何か作品を生み出すにあたって自分の「美しい」「素敵」と思う要素を、しっかり託しきれているか。これが意外と難しいことなのです。
ましてや商業写真という肩書がある手前、自分の趣味に完全に走りきるわけにもいきません。
パブリックな目で見たときに魅力的に見えるか。自分が素敵だと思う要素が詰まっているか。
プレゼンテーション力と世の目自分の目のバランス感覚が重要になってくるのです。
 
実際、彼の写真を見ていると、創作意欲がわいてきます。
これらの写真を模写ってみたりして、
私もドラマのワンシーンみたいなイラストを描きたいな…思ってします。
こういう気持ちにさせるから、写真見るのが好きなんですよね。