徒然畑

徒然なるままに。

【勉強会ノート】マーケティングデザイン論勉強会に行って学んだ事と、自分なりに学び考えた事をまとめてみる

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どうもです。めちゃくちゃ久しぶりにブログ更新します。

先月のことになりますが、10月29日に都内にて行われたデザイン系勉強会「初心者歓迎!マーケティング+デザインで「伝わる伝える」考え方を知ろう!」に行ってきました。

▽イベントページ
https://atnd.org/events/91662?kme=clicked%2Bevent%2Bremind%2Bmail_url

もともと大学時代にポスターデザイン史やウェブ広告という、いわゆる「商業美術」を勉強、研究した結果「ただ美しいだけじゃなくて、ちゃんと機能性や商業価値を考慮したデザインをもっと学んだり試してみたりしたいなあ」と思っていた私にとって「この勉強会はタイトルからしてまさに求めていたものだ!」と思い即決で参加したこの勉強会。講師はCSS Niteでもご登壇経験のあるデザイナー/ディレクターのたじまちはるさん(@DesignHumore)ということで、現場でご活躍されているデザイナーさんからみたマーケティングとデザインの掛け合わせとは一体どういったものだろう?とわくわくしながら参加しました。

結論から言うと
「ほんとに参加してよかった!」
「今日学んだことをもとに、もっとマーケティングやデザインを追求しよう!」
と心の底から思いました。
思わず個人的にマーケティングについて勉強し始めてみたほどです。

なので今回は、たじまさんの勉強会で学んだこと+自分で個人的に学んだこと、感じたことを(放っておくとすぐに忘れるトリ頭な)自分用のまとめとして残したいと思います。

マーケティングとデザインをつなぐキーワード
「See Tnink Wonder」

今回のたじまさんの講義でのキーワードはこれでした。

「See Tnink Wonder」
(よく見て よく考え 魔法を起こす!)

マーケティングと出会いを繋げる思考の可視化」のプロセス、というサブタイトルで掲げられたキーワード。最初にこれだけ聞くと「どういうことだ?」となりますが、結論から先に言うと次のような意味でした。

  • Seeは商品を売り出そうとしている環境や相手を知ること
  • Thinkはその商品をどういった方向性、内容で売り出すかを考えるということ
  • Wonderは売りたい商品・サービス、その商品の販売戦略のために何をデザインするか、どういった技術で落とし込むかということ

マーケティングとデザインが両立して生み出された商品やサービスはこの3つのプロセスがちゃんと存在している、というのが全体を通してたじまさんが伝えたかったことだと私は解釈しました。

マーケティングって、そもそも何?

まず初めにそもそもマーケティングとは何か?について。たじまさんはドラッガーコトラーの名言を用いつつ紹介してくださいましたが、まとめるとこの一言に集約するとのことでした。

「もの・サービスの価値を理解したうえで、
 必要とする人へ選んでもらうように届ける」

世の中は需要と供給であふれています。でもただ単に売りたい人が売りたいものを売るだけで必要とする人がやってくるわけではないです。では必要とする人に自分の商品やサービスが届くためにはどうしたらいいか?そのために大切なプロセスが「See Tnink Wonder」の3ステップなのです。

Seeは事実以上に相手の世界を理解すること

必要とする人に自分の商品やサービスが届くためにはどうしたらいいか?その目的を達成するためにまず取り掛かるべきことは「事実以上に相手の世界を理解する」ということです。
ここでいう「相手の世界」とは何かというと…

・商品の競合他社
・顧客の特色、行動心理
・顧客の置かれている状況
・クライアントの商品を売ろうとしている場所

などなどです。

マーケティングの話を持ち出すとき、競合他社や販売される場所(市場)を調査することは当たり前のように話の引き合いに出てきます。また、最近マーケティングの用語としてよく聞くペルソナやカスタマージャーニーなどは、顧客の行動や心理を理解するための考え方や手法の一つとして提示されていますよね。「この人は必ずこういう商品・サービスが欲しいと思うはずだ!」という推測をもって作って見ても、いざユーザーテストをやってみるとこっちが思っている以上にあれこのユーザーはこの商品・サービスを必要としていない…?と期待外れになることがあります。そういった市場や顧客を行動や動向も含めて具体的に検証や調査を行い、商品周りについてのひとつ一つの理解を積み重ねる行為。それがSeeの部分ということです。

Thinkは商品やサービスを理解し戦略を練ること

売りたいものはある!どういう市場でどういう顧客がいるかも知った!という段階に来た時に、次に取り掛かるのは「商品をその市場や顧客に対してどう売って行くかを考える」ということです。
具体的にどういうことを考えるかというと…

・ 広告媒体は?
・どういうブランディングにする?
・販売活動はどうやってやる?
・ターゲットユーザーに届くようにするには?

などなどです。

ここで重要なのは「そもそもこの商品やサービスってどんなものか」を理解する、ということです。競合他社や市場の流れ、ユーザーなどについての情報をSeeのプロセスで洗い出したのなら、「その中でこの商品の特別なポイントは何か?」「何をコンセプトとしてこの商品を作ったのか?」を出発点として商品戦略を展開していくのがThinkのプロセスなのです。逆に言えば、この「そもそもこの商品やサービスってどんなものか」がなければ、商品の方向性や戦略がブレてしまいます。また、後述する実例のプロセスでも「なぜそのデザインになったか」の前に必ず「そもそもこの商品やサービスってどんなもの?」の理解が前提としてあることが見受けられます。SeeとThinkの過程で得た情報や考え出した戦略がWonderのタネとなるのです。

Wonderは売りたい商品・サービス、その戦略を効果的に魅せること

そしてここで製品を具体的にどういう形にするか、というのがWonderのステップです。
売りたいものと、売りたいものの戦略を実現するために必要なのがデザインの力。ここで初めて具体的なヴィジュアルの話をするから、デザイナーの出番やっと登場だぜ!というケースが多いかもしれません。ですが、マーケティングデザイン論の文脈で言えば、SeeやThinkで揃った情報と戦略を繋げて最終的な成果物に落とし込むというプロセスなので、本来ならばSeeやThinkの過程からデザイナーが加わっていることが望ましいのでしょう。商品のパッケージも宣伝媒体も、効果的なものを打ち出すにはマーケティングやデザインと繋げて考えると成功率が上がる。それならば、上の方の過程から見通せている状態で制作に取りかかることが一番ベスト!ということを私自身は感じました。
(実際にデザイナーとして現場に関わった経験がないので、ここら辺の話はたじまさんのお話や自分の勉強を通して感じたことです。デザイナーとしてそういう現場に関わってみたい…!)

Wikipedia先生を見てみると構造がわかりやすいよ

実際にこのマーケティングとデザインがつながっている構造をみるにはWikiをみると良いですよ〜ということでググってみると、なるほど確かにページ右端のところにある概要説明バーに3つの構造が書いてあります。

マーケティング - Wikipedia

◆要約するとこんな感じ
・主要概念 → 商品を売り出そうとしている環境や相手を知る(See)
・宣伝内容 → 商品をどういった方向性、内容で売り出すかを考える(Think)
・宣伝媒体 → 売りたい商品・サービス、その商品の販売戦略のためにデザイン、技術をどう用いるか考える(Wonder)

こうしてみると、マーケティングの目的を達成するには、「市場調査や商品戦略はしっかりやってるけど、その良さを伝えるデザインはまあよしなに」なことにしても意味がないし、「このメディア媒体や技術は流行りだから市場調査とか戦略とかろくにしなくても売れる!」という考えも通用しないということが見えてきます。

実例で見る!「See Tnink Wonder」

売れる商品、よくできているサービスはちゃんとSee Think Wonderの3ステップがある。実際にたじまさんが紹介してくれた例から考えてみます。

実例1:明治 おいしい牛乳

See
・世の中の牛乳に対するイメージとは?
雪印の食中毒問題で、健康的でないイメージが強くなっていた…

・人々が牛乳の嫌いな原因とは?
→牛乳の臭みが嫌われる原因。
→成分テストをした結果、牛乳が酸化することで臭みが発生することが発覚
→牛乳から酸素を抜くことで、新鮮で臭くない牛乳に!

Think
・ネーミングはどうする?
→流行りのネーミングスタイルよりも、こだわったことをそのままストレートに表す!

・家庭で選ばれる牛乳のパッケージの色は?
→消費者テストをした結果、スーパーなどで目を引く赤色より、
 家庭の朝食風景に馴染む青の方が好まれることがわかった!

・スーパーや店頭で選ばれる場合何を意識したら目につきやすい?
→商品陳列におけるゴールデンゾーン(=自然と目に入りやすい位置。人の少し下向き気味の目線位置)を意識すると届きやすい

Wonder
・おいしさを表現するためのパッケージの絵柄は?
→今までの牛乳パッケージにあるような牧場や牛のイラストを使用せずに、
 グラスに注がれた牛乳の写真を使って、美味しさと新鮮さをアピール

・ゴールデンゾーンに商品を配置するにあたって各部位をどう見せるか
→注ぎ口は商品名が目立つような配置に、
 本体部分は商品名と牛乳の写真が目立つような縦型レイアウト、
 商品下部は、陳列棚の支えが被さることを考慮して、
 商品説明や商品名が入り込んでしまわないように調整

・おいしい牛乳が一つのブランドとして長く愛されるためには
→パッケージ上部にアーチ状の装飾を拵え、
 そのアーチ状の装飾を他の場所でも展開し、
「青色アーチ=おいしい牛乳」を想起させるようにした!
(ブランド関連の招待状のデザインにアーチ状の飾りを取り入れる、など)

今や牛乳の主要ブランドの一つとなっている明治おいしい牛乳。15年前までは牛乳といえば雪印、というイメージが強かった時代があったことをご存知ですか?雪印は不正と食中毒問題で一気に人気が暴落し、それに変わって人気ブランドとなった明治おいしい牛乳。人気になったわけは、徹底して人に向き合い、普通に選ばれる牛乳を目指したこと。このパッケージを担当した佐藤卓さんは、売場における子供や高齢者の目線まで考えたうえでフォントの位置もミリ単位で調整したそうです。それらも全て、人々に普遍的な牛乳として選ばれるための工夫。デザイナーの仕事の真髄を感じられる一例です。

実例2:三菱地所グループカード販促キャンペーン

See
・そもそも依頼主のクレジットカードはどういうものなのか?
→クライアントのサイトをみて、より詳細な情報を収集

・カードに対するお客様の評価は?
→口コミ(知恵袋やSNSなど)を調査

・他社と比較してポイント交換レートはどんな感じ?
→比較評価やポイント交換比較サイトなども調査

・実際にお店の人が案内している現場はどんな感じ?
→実際に店舗に行ったり、案内の現場をみたり、リーフレットを実際に取ったり…

Think
・他と比べて魅力的に見せるためには?
→良さを一言でまとめることで、訴求力を増すようにする!
→様々なサービスや特典を満喫できることが伝わるフレーズに集約

・ただのお客様へのパンフレットとしての役割以上にするには?
→販促現場で、店員さんがパンフレットを利用して説明を行なっていたことから、
 お客様に取ってわかりやすい機能はもちろん、
 店員さんに取っても説明しやすい機能も備えたものとして制作する!

Wonder
・良さを伝えるためにどうデザインに落とし込む?
→どういう風に使えるか、実際のシュミレーションや使用例を示す
(ポイント交換シュミレーション例を示す、会員の特典の具体例を示す、などなど)
 →実際にお客さんに伝わるかどうかを確認!

・お客様にとっても店員さんにとっても最適なリーフレットとは?
→お客様視点からの疑問や質問などを集めたQ&A集を記載
 =店員にとってはお客様に説明しやすくかつ魅力を伝えるためのツールとなる!
→カードと同じ形のリーフレットにすることで、
 何のパンフレットかわかりやすくかつ持ち運びしやすくなる


これは実際にたじまさんが関わったプロジェクトのお話です。三菱池所グループカード(クレジットカード)の契約数を伸ばすための販促手段を刷新してほしいという依頼で、最終的に反則パンフレットのデザインを刷新した例です。最初企画概要がコピー用紙一枚でポイント数とキャンペーン内容のみしか書いていなかったという情報の少ない依頼の中、「見た目は仕組みが作る」という考えの元、サービス内容、カードの販促現場の実態、評判の調査を積み重ね、最終的に「お客様にわかりやすいパンフレット」としての機能だけでなく「カードを販促する店員が実際にお客様に説明する際に助けとなるパンフレット」という二つの機能を備えたものに昇華させたそうです。実際に講義の中でそのパンフレットを見せてもらいましたが、パッとみただけでわかりやすいのはもちろん、店員さんの説明の助けになる部分は裏面に記載して表裏で役割を分けるという工夫もこしらえていました。よく考えられているデザインを見ると発見が多いので勉強になる上にみていて楽しいです…

たじまさんのお話から私なりに3つに分類してみましたが、「あれこれってThinkじゃなくてWonderなのでは?」とか「SeeというかThinkなのでは?」というものもあるかもしれません。というのも、実際のところうまくこの3つのステップがつながっているものほど厳密に分けるのが難しいというのがあります。最初から市場調査の結果や戦略やデザインが一本軸でつながっている前提のプロジェクトは、そもそもデザインにもちゃんとした意図が組み込まれているものが仕上がっているし、戦略を練る段階でパッケージや広告などデザインの領域に入っているということなのでしょう。

個人的に思ったことまとめ

ここからはマーケティングデザイン論の導入部分を学んでみて個人的に感じたことを書き記して置こうと思います。基本的に私の個人的な感想なので「マーケティング以外の話は興味ないんで!」って方はここら辺からページ離脱してください。

マーケティングって「おもてなし」!

この講義を聞いて一番感じたことです。
マーケティングとデザインを掛け合わせた実例を聴きながら、成功するマーケティングの条件の根底にはお客様に対する「おもてなし」の心があるんだと感じました。
そしてデザインにそういったマーケティング的考え方を持ち込むと言うことは、クライアントがターゲットとしているお客様に対してのおもてなしの心はもちろん、クライアントに対してもおもてなしをしているということになります。

マーケティング + デザイン」な考え方のデザイナーは
物を売りたい企業と、物を欲しいと思うお客様に対して、とっても「おもてなし」をしている!

この姿勢、私はとても共感しました…
もともと私は、友達の誕生日プレゼント考えたり選んだりするの好きな人間で、「せっかく渡すなら、その人が本当に欲しいものをプレゼントしたい!」と考えているので、誕生日を迎えようとしている友達が何を必要としているのか注意して会話をしたり、その子の持ち物や行動をみながら「こういうプレゼントなら今必要としているのではないかな?」と推測して、友達にプレゼントを渡すということをしているんです。その結果「これ好き!」「ちょうど新しいのが欲しいと思ってた!」と喜んでもらえてプレゼントを使ってもらう様子を見たときの達成感や喜びは、半端ないことこの上なし。たじまさんの言葉を借りると、「その人のことをよく見て、その人のことをよく考えて、結果その人にWonderな体験をしてもらう」ということがしたかったんでしょうね。なので私にはとても合うデザイン思考だなと感じました。

こういうデザインをやりたいんだ!と気づかせてくれた

個人的な話をすると、私はちょうど転職活動中の身でして、この勉強会に参加する前、ちょっと自信無くして落ち込みかけていた状態だったのです。
というのも、転職活動と並行して色々な交流会に参加しており、その中で業界のお話や実際にデザイナーとして活動している方とお話しした結果「スキルや経験が全然追いついてないのにデザイナーとして転身しようとしている私は、一体何を信念にして活動しようとしているんだ?」とぐるぐるぐるぐるドツボにハマってたのです。
ですが、この講義を聞いたことで「そうだ、私はこういうことをやってみたいのか。そのためだったらスキルやら経験やら何でもキャッチアップして前進しよう!!!」と元気をもらえたのです。結局のところ「好きすきやってみたい!」という気持ちがあれば経験とかスキルとかは気持ちの強さで何とかできると思い出したんです。
元々私は文系出身でSEをやっているんですけど、今まで何とかやって来れたのって「設計考えるのって面白い要素あるな」「プログラミングって学べば学ぶほどもっと色々とやってみたくなるな」という「すきすきやってみたい!」精神があったからなんです。なので何かをはじめる際に必要なものってエンジンとなる自分の軸(「すきすきやってみたい!」精神)だけなんです。
ちょうど私は様々な情報に圧倒されてしまって、デザイナーを目指すに当たってそこの自分の軸を見失っていました。スピードがでない車のように自信消失低速モードだった私を、「やってやる!」な爆速モードに戻してくれたたじまさんの今回の講義にはとても感謝の気持ちでいっぱいです。


私の与太話が入ったせいでだいぶん記事長くなってしまいましたが。。。
とても刺激になった講義でしたので、備忘録として執筆しました。
もっとこの分野について知りたいことも色々あるので、さらに個人的に勉強しつつ、私自身もこういうことをやるデザイナーになれるように行動していこうと思います。

最後に、今回の講義はもちろん、記事執筆にあたって公開の許可や協力をいただいたたじまちはるさんには心の底から感謝です!
マーケティングとデザインをつなぐことの面白さ、教えていただきほんとうにありがとうございました!