徒然畑

徒然なるままに。

【No10】ヘリオトロープ 「東京胡同案内」

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これも、昨日と同様に同人即売会イベントでゲットした風景写真集です。
もともとこのヘリオトロープというサークルさんは、
時々このように廃墟や工場、路地裏やレトロな風景を
独特な世界観の写真でつづった本を出されていました。
 
今回はその素敵な世界観の紹介も兼ねて、
路地裏の魅力についても、分析したいと思います。
 
⑴錆と極彩色の調和
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まずはこの写真集の技法の魅力についての話になりますが、
この写真集もよく路地裏の魅力を理解して捉えています…
収録されている路地裏は、たいてい古くから続いている店や
地区年数のそこそこ長そうな建造物たち。
そういった建物は、どこかしらに錆や古さが現れています。
その錆たちを、あえて極彩色で着色している所がポイントです。
極彩色は、それ単体だけだと目が耐えられない、という場合がほとんどです。
ですが、それが錆と混じるとなると、
多少なりとも極彩色のまばゆさはかすれや薄みで減少する。
その減少したときの極彩色は、単体で見ると気よりもずっと目に優しく、
だけど元が鮮やかなので、美しく感じられる。
こういった理由から、錆やかすれは、実は極彩色と相性がいい。
そのため、錆の宝庫ともいえる古ぼけた建物並ぶ路地裏と、
鮮やかな色たちとの組み合わせは、
それだけで見る人に新たな景色を提供してくれるのです。
 
⑵ぎっしり詰まった人工物の美
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昨日の繰り返しになってしまうかもしれませんが、
まず路地裏や廃墟には規格化されたものの美が詰まっている。
自然物ではありえないような真四角や直線、曲線、材質感などに詰まっている美に、
人は引かれてしまうという感性を持っています。

そして、その規格化されたものをぎっしり詰め込むことで人間の高揚感を誘う、というのが路地裏の魅力の一つでも亜rます。

規格化された人工物は、とはいえ様々な種類がある。
看板ひとつとっても、様々なデザインや規格のものがあふれているように、
様々な個性を持った規格物がぎっしり詰まった風景は、
子供のころのおもちゃ箱につまったおもちゃのように、魅力的に見えてしまう。
ある一つのテーマで詰め合されると、魅力的に見えてしまうという不思議な原則。
それが具現化されたのが、路地裏ともいえるのです。
 
⑶人間と共通的な部分
 
あとは、路地裏には人間に近しい部分がある、というのが魅力的に見える要因になっているのではないでしょうか。
人は必ず歳をとる。その証拠は、顔のしわや、しみ、肌の質感、ありとあらゆるところで見える形で表れてくる。
その表れは、建物も同じ。
手入れされてなければ、あっという間に錆びる、ぼろになる、跡がつく。
そうやって変化にあらがえない様に、自分自身の変化にあらがえない姿を、無意識のうちに思いだし
どこか郷愁と言う名の共感を感じてしまう。
人間と同じで建物も変化していく。その共通点が、見る人によっては親しみを感じてしまうのでしょう。
 
と、そんなこんなで。
今回は路地裏の魅力を交えつつこの本の魅力をつらつらと分析してみました。
次回は、もう一冊のヘリオトロープさんのご本を紹介しながら、
廃墟の魅力について掘り下げたいと思います。