徒然畑

徒然なるままに。

【No7】CLAMP 「CLOVER」

私の大好きな漫画の一つです。
CLAMP先生は一番最初に好きになった漫画家さんなので、余計に思い入れがあります。
1997年に発表された作品ですが、今も時折読み返す作品の一つです。
何故そうさせてしまうほど魅力的に感じているのか…自分なりにまとめてみました。

⑴美しい規則性を持ったコマ割り、レイアウト

画像を見てもわかるように、基本的にこのマンガには変形ゴマがありません。
正方形コマが基本、あとはバランス調整のために長方形ゴマ、
残りはコマ無し白背景ベースに人物や事物を描いています。

そうやって表現に縛りをかけることで
その縛りだからこそ魅力的になる表現を追求しやすくなる、というのがあります。
具体的には、余白の有効活用。
余白に要素を詰めるのではなくあえて残すことで
登場人物たちの台詞や表情がより叙情的に映るのです。
また、重要な小道具として「歌」が物語に絡んでいるため
その歌詞のためにあえて四角いコマを一つまるまるつかう、という手法も凝らしています。
基本的に四角いコマしか使わない、という制約に則っているおかげで
他の人物コマや背景コマと同格なインパクトをあたえることに成功しています。

こんな風に、あえて縛りに則ってコマの構成を行うからこそ
その中でどう効果的な表現を捻出できるかに専念できる
という制作側の集中力のメリットがありそうです。


⑵丁寧に描かれる心の近づき、切なさに叩き落すラスト
要するに話の緩急のつけ方がうまいんですよ。
おかげで見事に切なくなりながらも惚れ込んでしまいました。
登場人物が心を通い合わせていく様子を、一つの展開ごとに一つずつ重ねながら表現しているため
読み進めていくうちに、登場人物たちの心の通い合いに暖かな気持ちを抱いていきます。
そして、その暖かさが最高潮になったところでーーー読者をたたき落とします。
つまり、衝撃の展開や、目をみはる転換点を持ってくるのです。
そして最後は、終末を綺麗に見せる演出を添えて締めくくる。
土台作り、たたき落とし、最後の幕引きを綺麗にまとめる。
この緩急のつけ方のおかげで物語が強く印象付けられるのです。


お話の内容については、読んでもらいたいという気持ちも込めて割愛しますが
このマンガは私にとっては芸術的だな、と初めて思った作品です。
心に響くというのはもちろん、
こんな風に、繊細で美しい物語はどうやって生まれるのは何故かを解き明かしたい…という気持ちで
また懲りずに読み返そうと思います。